ひとつの雪の玉

自由帳

カナコは、窓の外を見つめていた。
冷たい風が舞い、外には小さな雪がちらほらと降り始めている。
手元には、まだ何も書かれていないノート。
彼女は何をするわけでもなく、ただその空白のページを眺めていた。

ふと、手のひらに小さなアイデアが転がり込んできた。
それはまるで、手の中にそっと落ちた雪の玉のようだった。
何かを変えるわけではない、ただのささやかな思いつき。
しかし、カナコはその小さなアイデアを逃さず、ノートに書き留めた。

その後、部屋を出たカナコは、いつもの通りを歩きながら、頭の片隅でそのアイデアを転がし続けていた。
歩いているうちに、ふとした拍子に石を蹴った。
それは彼女にアイデアが少し大きくなったように感じさせた。

翌朝、カナコは再びノートを開いた。
そこに書かれているのは、昨日の小さなアイデア。
彼女はそれを見つめ、さらに書き足していった。
新しいひらめきが浮かぶたびに、アイデアは少しずつ形を変え、転がり続けていく。

ある日、友人にその思いつきを話してみた。
話しながら、彼女は自分が何かを伝える喜びを感じていた。
友人もまた、興味深そうに耳を傾け、「それ、いいかも」と言ってくれた。
その瞬間、カナコのアイデアはさらに成長した。

日々の中で、カナコの頭の中で転がり続ける雪の玉は、少しずつ大きくなっていく。
最初はほんの些細なものだったはずが、今では彼女にとってなくてはならないものに変わりつつあった。

「どうしてこんなに膨らんだんだろう?」

とカナコは思う。
けれど、それが悪いことだとは思わなかった。

彼女は窓の外に目をやり、降り積もる雪を眺めた。
ひとつの小さな雪の玉が、何度も転がり続けて、大きなものに変わっていく。
その様子を見て、カナコは自分のアイデアもまた、同じように育っていくことを確信した。


スノーボール効果について

小さな出来事や行動が、時間をかけて少しずつ膨らみ、大きな結果を生む現象を『スノーボール効果』と呼ぶらしいです。
最初は取るに足らない一歩でも、やがて思いがけない形で私たちの人生に影響を与えることがあるとか。
そんな小さな一歩、大事にしたいですね。

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