重なり合う影

自由帳

夜の公園は、静かでひんやりとしていた。
リナはいつものように一人、散歩をしていた。
街灯の柔らかい光が地面に彼女の影を映し出す。
その影を見て、彼女は不意に足を止めた。

いつもと違う。影が二つある。
最初は、ただの錯覚だと思った。
けれど、どれだけ目を凝らしても、影は確かに二つ存在していた。
一つは彼女の動きに完全に寄り添っているが、もう一つは少し遅れて追随する。
それはまるで、もう一人の自分が別の場所で彼女を追っているようだった。

リナは手を振ってみた。
片方の影は同じ動きをしたが、もう片方は少しずれて別の方向へと揺れ動いた。
奇妙な感覚が全身を覆う。
影は自分ではない、けれども自分の一部であるような存在。
それに引き寄せられるように、リナはそのずれた影を追いかけ始めた。

影は道を進み、薄暗い木々の間へと消えていく。
リナは躊躇しながらも、その跡をたどって茂みの中に足を踏み入れる。
すると、影はふっと消えてしまった。

何もかもが元通りのように見えたが、リナは違和感を感じた。
まるで二つあった影が一つに重なり、彼女の中に戻ってきたような感覚があった。

彼女は目を閉じ、深呼吸をした。
そして再び目を開けると、いつも通りの一つの影が足元にあるだけだった。
リナは軽く笑みを浮かべ、歩き出した。
だが、その笑みの裏には、もう一つの影が今もどこかで彼女を見守っているという確信があった。


光の波と粒の二重性

光は波でもあり、粒でもある不思議な性質を持っているらしいです。
リナが見た二つの影も、光の性質がもたらした奇妙な現象だったのかもしれませんね。

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