音楽の海に溺れて

自由帳

ヒロシは深夜、部屋の静けさの中で古いレコードを手に取った。
プレーヤーにそっと針を落とすと、スピーカーから低く柔らかな音が流れ出し、部屋の隅々まで満たしていく。
音が波のように押し寄せるたび、ヒロシの心もどこか深い場所へと引き込まれるような気がした。

やがて、腕にかすかなざわめきが走る。
指先から背中にかけて鳥肌が立ち、音の一粒一粒が肌に触れるように感じられた。
目を閉じると、音楽が形を変えて、まるで海の中に溶け込むかのような感覚が広がっていく。
部屋の中は変わらず静かなのに、ヒロシは確かにどこか遠く、未知の深海に漂っている気がした。

彼は浮かび上がるような重力のない感覚に身を任せ、音の波の中でふわふわと揺れていた。
遠くから聞こえるかすかなささやき、光の粒が静かに舞い降りてくるその光景は、実際には何もないはずの部屋で彼の心に不思議な世界を描き出していた。
時間の感覚も薄れ、音楽が静かにフェードアウトしていくと、ヒロシはふと現実に戻る。

鳥肌は消え、部屋には元の静けさだけが残っていた。
ヒロシはレコードを止めると、まるで旅から帰ってきたように深い息をついた。


音楽と鳥肌の関係

音楽を聴いていて鳥肌が立つこと、ありますよね。
これは、脳が音楽に対して強く反応し、感情や記憶が刺激されると起こる現象らしいです。
ヒロシも音の深い海に心を委ねた瞬間に、この感覚を味わっていたのかもしれません。

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