空の夢

自由帳

彼は、いつも空を飛んでいた。
羽も翼もないのに、風に身を預け、空を漂っていた。重さを忘れ、浮かぶことが当たり前のように感じられた。
最初の頃は、地上からどんどん離れていく恐怖に包まれていたが、やがてその感覚は消え去り、ただ空を彷徨うことが自然となった。

「風がどこへ運んでくれるのか、気にしなくてもいい。」

そう思った瞬間から、目を閉じても飛び続けることができた。
目覚めることがあるのかさえもわからなくなり、現実と夢の境目が曖昧になる。
風がそっと背中を押し、音もなく、ただ宙を漂う。

時間の感覚も消えていった。
太陽は見えない。
月もない。
ただ、風がある。
彼は何も考えず、どこかに向かって進んでいる気がしていたが、行き先など気にしたことはない。
目を閉じていても、風にまかせていれば良かった。

一度、彼はふと地上を見下ろそうとした。
しかし、そこには何もなかった。広がる灰色の空と、彼を包み込む風だけ。
それだけで十分だと彼は気づいた。
飛ぶことそのものが、目覚めの確かさよりもリアルだった。

目覚めた後も、その感覚は体に残り続けた。
ベッドに横たわりながらも、風がまだ背中を押しているような気がしたのだ。
もしかしたら、彼はまだ飛び続けているのかもしれない。
目を閉じるたびに、また空を漂い始めるのだから。


鳥はどうやって飛びながら眠る?

渡り鳥は、飛行中に片方の脳を眠らせながら、もう片方の脳で飛び続けることができるらしいです。
こうして長い旅をしながら、途中で休むことなく進んでいけるんだとか。
空の旅の間に、鳥たちはどんな夢を見ているのでしょうね。

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