彼は小さな町のタイプライター修理店を営む職人だった。
古びた店内には、彼が手がけた無数のタイプライターが整然と並んでいた。
しかし、最近彼は奇妙な現象に悩まされていた。
夜、店を閉めた後、ひとりでに動き出すタイプライターの音が聞こえるのだ。
ある晩、彼は音の正体を突き止めるべく、店に泊まることにした。
深夜、店内が静まり返る中、ついにその音が響いた。
カタカタと、小さなキー音が連続して鳴り響く。
彼は息を潜めながら音の出所を探し、棚の奥にある古びたタイプライターが一人で動いているのを目撃した。
「まさか…」
彼は目を疑った。
誰も触れていないのに、タイプライターが勝手に動いている。
恐る恐る近づき、紙を取り出すと、そこには「QWERTY」という文字がタイプされていた。
次の日も、そのタイプライターは彼にメッセージを打ち続けた。
「QWERTY」
「QWERTY」
と、まるで何かを伝えようとしているかのように。
そしてその夜、彼は再び夢を見た。
夢の中で彼は、タイプライターの世界に入り込んだ。
そこではキーたちが自らの意思で動き回り、彼に語りかけていた。
「我々はただのキーではない」
と、Qが言った。
「我々は言葉を紡ぐ者。過去の記憶と未来のメッセージを運ぶ者なのだ。」
夢から覚めた彼は、不思議な感覚に包まれていた。
あのタイプライターが伝えようとしていたのは何だったのか?
それは単なる偶然の産物ではない、何かもっと深い意味があるように思えた。
「QWERTY…」
彼はその言葉を繰り返しながら、タイプライターに向き直った。
タイプライターが伝えようとしていたのは、何か重要なことだ。
そしてそれは、彼が解き明かすべき謎だった。
QWERTY配列の理由
実は、タイプライターのキーボード配列がQWERTYになっているのは、昔のタイプライターが詰まらないように工夫された結果らしいです。
キーが連続して押されにくくするために、あえて配置をバラバラにしたんだとか。

