記憶の迷宮

自由帳

レナは奇妙な街に迷い込んだ。

その街はどこか現実離れしており、道の両脇には無数の看板が並んでいた。
看板には何かが書かれているが、読む前に視線を逸らすとすぐに文字が消えてしまう。
まるで、何も書かれていなかったかのように。

「一体何だろう、ここは…」

レナは首をかしげた。

通りを進むたび、色とりどりのネオンサインや派手な広告が目に入る。
どれも彼女に何かを選ばせようとしているようだ。
だが、どの道を進んでも、最初に目にした看板のイメージが消えない。
街の出口を探そうとするが、何度歩き回っても最初の通りに戻ってしまう。

「なぜいつもここに戻るの?」

レナは不安そうに呟いた。

その時、目の前に一人の老人が現れた。彼は落ち着いた声で言った。

「君が最初に見たものが、君の心を縛っているんだよ。」

「最初に見たもの…?」

レナは老人の言葉を理解しようと考えたが、何かが曖昧で掴めなかった。

老人はにっこり微笑み、続けた。

「最初の印象がすべてを決めるんだ。だから君は、何度歩いても同じ場所に戻ってしまう。でも、本当にそれが唯一の道なのかどうか、君次第だ。」

レナは、もう一度周りを見渡した。
彼女の心の奥底に残る最初のイメージ。
それが出口への道を閉ざしていたのかもしれない。
しかし、今度は一歩踏み出し、目を閉じて道を歩いてみた。

そしてふと目を開けたとき、彼女は見知らぬ広場に立っていた。
最初の印象から解放された瞬間、彼女は新しい風景の中にいた。


アンカリング効果とは?

「アンカリング効果」という現象があるらしいです。
人は、最初に与えられた情報に強く引っ張られ、その後の判断や行動に影響を受けることがあるとか。
例えば、初めに提示された価格や意見が、その後の決定に無意識に影響を与えることが多いようです。

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