日が傾き始めた頃、エミは友人の家を出た。
楽しい時間を過ごし、心地よい疲れが体に広がっていた。
家までの道のりは、来たときと同じだ。
だが、帰り道はいつも、なぜか早く感じられる気がした。
「またあの道を通るのか」とエミは少しだけ面倒に思った。
行きは長く感じたし、途中で見つけた古いカフェも閉まっていた。
それでも、家までの距離は同じはずなのに、帰り道になると不思議と足取りが軽くなる。
エミはいつも、この感覚に驚かされる。
公園を抜け、小さな橋を渡る。川のせせらぎが耳に心地よく響く。
来るときは、何かに急かされているような気がして、景色を楽しむ余裕などなかった。
だが、今は時間がゆっくり流れているようだ。
鳥の声や風の音も、はっきりと感じられる。
自然と足取りが軽やかになっていく。
「なんでだろうね、帰り道っていつも早いんだよね」
と、エミは独り言をつぶやいた。
友人の家へ向かう途中、彼女の頭の中は予定でいっぱいだった。
しかし、今はただ家に向かって歩いている。
それだけがこの不思議な感覚を引き起こしているのだろうか?
彼女はいつの間にか、もう家の近くに差し掛かっていた。
行きと同じ道なのに、戻る時間はあっという間だった。
「なんでだろう…」
エミは微笑みながら玄関のドアを開けた。
帰り道が短く感じられるその理由を、彼女は今でもうまく説明できない。
ただ一つ、確かなのは、今日もまたその不思議な感覚に包まれていたということだ。
帰り道は短く感じる?
「帰り道効果」という現象があるらしいです。
知らない場所や初めて歩く道は長く感じるものですが、帰り道になると脳が道を覚えているため、距離を短く感じることがあるとか。
特に楽しい時間を過ごした後の帰り道では、この効果が強く現れることが多いようです。

