レナは、家の片隅に積み上げられた古い箱をじっと見つめていた。
その中には、もう使わなくなった雑貨や、かつて集めた小物がぎっしりと詰まっている。
何度も捨てようと思ったが、手が止まってしまう。
箱を開けるたびに、過去の思い出が蘇り、すべてにどこか手を伸ばせない理由があるような気がした。
「なんでこんなものを残しているんだろう…」
彼女はため息をつき、ひとりごちた。
ある日、意を決して、箱の中身を処分しようと決めたレナは、一つ一つ手に取りながら自分に問いかける。
もう使う予定のない古い鍵を手にしたとき、
「これ、捨てても大丈夫だよね?」
そう自分に言い聞かせる。
だが、なぜか捨てられない。
もしかしたら、いつか使うかもしれない、そんな小さな可能性が彼女の手を止める。
結局、鍵はまた元の場所に戻された。
レナは箱の中に深く埋もれていた、使い古した手帳を見つけた。
何年も前に使い終わったものだが、そこにはまだ重要なメモが眠っているような気がして、捨てるのが怖かった。
「これだって…もういらないはず…」
それでも手帳を戻してしまう。
レナは思い出や感情に縛られているわけではない。
ただ、ここまで費やしてきた時間や過去の自分を手放すことに抵抗を感じていた。
「どうしても減らせないみたいね…」
彼女は苦笑しながら、そっと箱を閉じた。
そして、再びその箱は部屋の片隅で静かに積み上げられたまま、次の機会を待っている。
コンコルド効果とは?
「コンコルド効果」という現象があるらしいです。
一度費やした時間やお金に執着して、それが無駄になることを恐れ、無意味な行動や所有を続けてしまうことがあるとか。
たとえば、もう使わない物でも「ここまで使ったから捨てられない」と思ってしまうことがあるかもしれませんね。

