レオンは実験室の暗がりで、一筋の光も漏らさないようにして作業台に向かっていた。
目の前の試験管に揺らめく緑色の液体は、長い年月をかけて調合したものだった。
静けさの中で、彼の呼吸だけが聞こえる。
これがうまくいけば、彼は長年追い求めてきた「夢」を実現する。
ガラス容器に注がれる液体が、静かに金属の粉と混ざり合う。
小さなきらめきが瞬き、液体はかすかな光を放ち始めた。
レオンは手元に集中し、まるで魔法をかけているかのように慎重に動いた。
目の前で黄金のように輝く物質がゆっくりと形を取りつつあった。
「ついに…。」
だがその瞬間、まるで何かがレオンを嘲笑うかのように、黄金の輝きが突然消え去った。
手のひらの中にあるはずのものは、一瞬で無へと帰った。
レオンは目を見開いたまま、空っぽの手を見つめた。
指先に感じるのはただの冷たい空気だけだった。
「幻だったのか…?」
一瞬、絶望が胸を突き刺したが、次の瞬間には奇妙な安堵が彼を包み込んだ。
もしかしたら、本物の黄金など必要ないのかもしれない。
彼が追い求めたものは、目に見える宝石ではなく、その過程で生まれるひらめきや瞬間の輝きだったのだ。
彼は静かに微笑み、光の消えた試験管を片づけ始めた。
目に見えない黄金は、彼の心の中でゆっくりと輝き続けていた。
人工の黄金
科学的には、人工的に黄金を作り出すことは可能らしいです。しかし、そのためのコストが非常に高いため、実際には黄金を作るよりも採掘した方が安いのだとか。レオンも、夢と現実の狭間でその事実に気づいたのかもしれませんね。

